第160章 彼女の対戦相手は最初から橘結衣ではない

田村良平は言葉に詰まった。

小山英子の相手をする気にもなれず、顔だけを橘結衣へ向ける。声は氷みたいに冷たかった。

「橘結衣。書道の授業も書道大会も国際クラスの案件だ。お前は出場の申し込みを取り下げて、その枠を国際クラスの生徒に返せ」

橘結衣はそれを聞くなり、「ふっ」と鼻で笑った。

「返す? 最初から私のものだけど。『恵んでやれ』って言うなら考えてもいいけど、『返せ』って言うなら無理」

田村良平の顔色が一気に変わる。怒りを露わにして橘結衣を睨みつけた。

「申し込みを取り下げろと言ってるんだ。聞くのか、聞かないのか!」

橘結衣は冷ややかに笑う。

「なんであなたの言うことを聞かなき...

ログインして続きを読む